ガンボはアメリカ南部ルイジアナの郷土料理。ルイジアナ以外でも南部アメリカを中心に広く食べられてきた料理です。この地域では、CreoleクレオールとCajunケイジャンのふたつの文化が共存します。大まかな括りとして、クレオールはフランスやスペインから最初に南部アメリカやカリブ地域へ移住してきた人たちで、ケイジャンは18世紀にカナダのAcadiaアケイディア（東部沿海州）から移住してきたフランス語圏の人たちです。それぞれが自分たちの言語、習慣、伝統を受け継いだ文化にルイジアナの風土を融合させて暮らしてきました。この土地の食材と合わせ、さらにアフリカ系の人々の食文化であるソウルフードともミックスするようなかたちで生まれたのが、クレオール料理でありケイジャン料理です。ガンボもクレオール・ガンボとケイジャン・ガンボがあります。クレオールがトマトベースでサラッとしているのに対し、ガンボは茶色く濃厚なルーを使うのが特徴です。ここではケイジャン・ガンボをご紹介。ガンボの語源ははっきりと分かりませんが、アフリカの一部で話されている言語でオクラを意味するようです。なので、ガンボには必ずオクラが入ります。
本場ではAndouilleアンドゥイユというフランス発祥の二度燻製するソーセージを使いますが、手に入り難いので、ほかの大き目のソーセージで代用し、香りをプラスするためにベーコンを追加してつくります。クミン、オレガノ、チリ、胡椒などを含んだケイジャンスパイスがあれば、代わりに使ってもOK。エビは可食部分は全部食べられるように、尻尾以外の殻はすべて取り除きましょう。ちなみに英語には「エビの背ワタを取る」を意味するdeveinディーヴェインという動詞があり、peeled and deveined shrimpといえば殻を剝いて背ワタを取ったエビを指す決まり文句です。
●材料・下ごしらえ（4人分）
小麦粉…120g
水…800ml
オリーブオイル…大さじ1
ニンニク…1片
※みじん切り
ソーセージ…4本（大きめのもの）
※2cm長さに切る
ベーコン…50g
※みじん切り
タマネギ…1個
※粗みじん切り
ピーマン…2個
※粗みじん切り
セロリ…1/2本
※粗みじん切り
エビ…16尾
※尻尾の手前まですべての殻を剝き背ワタを取り除く
尻尾は剣先（尖った三角のところ）を指ではずし、先端部分を切り取る
背わた以外の殻はザルなどに集めてよく水で洗っておく。
白ワイン…大さじ1
鶏むね肉…200g
※横から包丁を入れ厚さを半分に切り分ける
オクラ…8本
※板摺りをしてから、愕の部分を剝くように切り取り1㎝長さの筒切り
塩…小さじ1/2
白胡椒…ひとつまみ
クミン…小さじ1/2
オレガノ…ひとつまみ
チリパウダー…ひとつまみ
ウスターソース…小さじ1
長ネギ（緑の部分）…4cm
※小口切り
ご飯…適量
※別に炊いておく
●つくり方
1．鍋に小麦粉を振り入れて中火にかける。
時々ヘラで混ぜながら茶色(ピーナッツバターぐらいの色)になるまで乾煎りする。
同時に別の鍋に水（800ml）を入れて沸騰させる。
エビの殻を加えて1分ほど茹でる。
ザルなどで漉す。
小麦粉が炒まったら、エビの出汁を少しずつ加えて小麦粉が均質になるまでのばす。
2．別の鍋に水2カップ（分量外）を入れて火にかける。
沸騰したら鶏肉を入れて3分ほど茹でる。
火を消し蓋をして冷ます。
3．下処理をしたエビは表面の水分を拭き取り、ボウルやバットに入れて白ワインを振りかける。
落としラップをして15分以上おく。
フライパンにオリーブオイルを引き、中火にかけてベーコンを1分ほど炒める。
ソーセージを並べ入れて焼く。
ソーセージに焼き色が付いたら、ピーマン、タマネギ、セロリを加えて香りが出てくるまで炒める。
塩と胡椒を振りかけたらひと混ぜして火を消す。
4．2の鶏肉が手で触れられるぐらいに冷めたら、指で繊維に沿って細く裂く。
1の鍋を中火にかけ、フライパンの中身を入れて馴染ませる。
クミン、オレガノ、チリパウダー、ウスターソースを足し、煮立ってきたらオクラと鶏肉とエビを加える。
エビの色が変わったら火を止めて蓋をする。
5．深めの皿にご飯を盛り付けてカレーライスのようにガンボをかける。
ネギを散らして出来上がり。
ガンボと似た料理にShrimp Étoufféeエビのエテュフェがあります。
これはソーセージや他の肉を入れずにエビをメインにつくるのが特徴で、ザリガニのCrawfish Étoufféeも有名です。
最初に植物油大さじ2に小麦粉大さじ2を加えながらよく混ぜたルーでとろみを出すところがガンボとの違いでしょう。みじん切りにしたタマネギ、セロリ、ピーマンを炒めたところへエビ出汁で溶いたルーと刻んだトマトやスパイスを足して煮込みます。最後にエビとマッシュルームを入れて仕上げです。