シュトレンstollenはドライフルーツやナッツを練り込んでつくるドイツの菓子パンです。特にクリスマスを迎える時期のアドヴェント(待降節)の期間に食べるものをクリストシュトレンchriststollenと呼びます。ドイツでシュトレンが最も有名なのは伝統あるクリスマスマーケットでも知られるドレスデン。ここには文化財として製法や品質を保護するためのシュトレン協会が存在し、”Dresdener Christstollen”「ドレスナー・クリストシュトレン」の名は商標として守られています。この名称を名乗れるのは、ドレスデンと周辺の限られた地域で焼かれたシュトレンだけ。協会の厳しい審査に合格した製品には、そのお墨付きを保証するしるしとして金色の認定シールが貼られるのです。ドイツでは、シュトレンは焼いてから数日後に風味が出来上がると言われ、それをアドヴェントの間に少しずつ切り分けて食べることでクリスマスシーズンを楽しみます。
ここでは、できるだけドレスナー・クリストシュトレンに近いイメージでありながら、カルダモンの風味を特徴にしたつくり方にしたいと思います。
粉をこねてパンや洋菓子をつくる場合にはいくつかの製法がありますが、ここでおこなうのは生地を2回に分けて捏ねる中種法というものです。英語ではsponge and dough methodスポンジ・アンド・ドウ・メソッド。酵母で事前発酵させた生地を使うことを意味し、その生地は英語でpre-doughプレ・ドウ、ドイツ語でvorteigフォアタイクといいます。先に中種をつくって発酵させ、本捏ね生地に混ぜ込むというやり方です。中に入れるドライフルーツやナッツはお好みで別のものに変えてもいいかと思います。
●材料・下ごしらえ(長さ30cm程度2台分)
◆中種
強力粉…80g
薄力粉…40g
ドライイースト…3g
牛乳…大さじ2
水…大さじ2
◆本生地
強力粉…120g
薄力粉…60g
無塩バター…100g
※室温に戻しておく
グラニュー糖…40g
卵…1個
ラム…50ml(できればマイアヤーズなどのダークラム)
サルタナレーズン…80g
オレンジピール…20g
※ 粗みじん切り
レモンピール…20g
※ 粗みじん切り
クランベリー…40g(ドライフルーツ)
アーモンド…30g(スライスされたもののほうがよい)
※粗く刻む
クルミ…30g
※粗く刻む
カルダモン…3個(パウダーであれば小さじ1/2)
シナモンパウダー…ひとつまみ
◆仕上げ
無塩バター…30g
グラニュー糖…大さじ3
粉糖…大さじ4
●つくり方
1.中種
牛乳を湯煎して30~35℃ぐらいに温めて、ドライイーストを加えて溶かす。
ボウルに強力粉と薄力粉をふるい入れ、イースト液を回しかけて全体を捏ねる。
丸くまとめたら、ボウルにラップをかけて温かい場所(28~30℃程度)で1時間ほど発酵させる。
深めの器にラムを入れ、レーズン、オレンジピール、レモンピール、クランベリー、アーモンド、クルミを加えて混ぜながら浸す。
2.本生地
別の大きめのボウルにバターを入れて泡だて器で滑らかにする。
卵を割り入れてバターに混ぜ込む。
薄力粉、強力粉の順にふるいながら加える。
木べらなどで粉が見えなくなるまで混ぜる。
3.捏ね
本生地の上に中種をちぎってのせる。
さらにカルダモンとシナモン、1のドライフルーツ類をラムと一緒に入れる。
中種とドライフルーツ類を中に揉み込むように生地をよく捏ねる。
生地を2等分してボウルにラップをかけ30分おく。
4.成形
生地を30cmほどの楕円形に伸ばす。
端から1/3の辺りを縦に麺棒などを当てて1cm程度へこませる。
へこんだ部分を中に包むように折り返す。
全体の形を整える。
オーブンの天板にクッキングシートを敷き、生地をのせる。
乾燥させないように、上に濡れぶきんをかけて30分おく。
オーブンを180℃に予熱する。
5.焼き
オーブンで30分焼く。(機種により焼き時間は変わるので調整する必要があります)
バターは湯煎で溶かしておく。
焼き上がったら熱いうちに刷毛で表面全部にバターを塗る。
さらにその上にグラニュー糖を振りかけて塗す。
アルミホイルで包んで冷めるまで置いておく。
6.仕上げ
完全に冷めたら、シュトレンの全体に満遍なく粉砂糖を振るいかける。
2~3cm幅に切り分ける。
少しずつ食べる場合には、食べたい分だけ切ったらラップで切断面を覆うようにしておく。