亡くなった母が岐阜県大垣市の出身です。かくいう小生も「東京生まれで東京育ち」と公言してはいるものの、厳密に言えば生まれた場所は大垣市民病院。昔は妊婦が実家に帰って出産するのが当たり前だったからでもあります。もうずいぶん前に建物はなくなりましたが、母の実家は田町の川沿いに構えていました。平屋ながら迷子になるぐらいの広さだったのを思い出します。大垣や岐阜は祖父母をはじめ親戚もたくさんいたので、高校生ぐらいまでは毎年、夏休みや冬休みに遊びに行っていた馴染み深い土地です。
大垣には、金蝶園饅頭と水まんじゅう、みそ入りせんべい、柿羊羹、みたらし団子(ひと串5個でとろみのない濃いタレが好き)など、子どもの頃から親しんだ美味しいものがいろいろとあります。でも忘れてならないのが「朝日屋」のかつ丼❗「朝日屋」は手打ちうどんのお店ながら、小生の知る限りでは、中華そばかかつ丼、あるいはその両方を食べている人が多かったようです。特徴的なかつ丼は、卵とじではなくて泡立てたふわふわの卵をとんかつの上からたっぷりとのせるスタイル。一部ではエスプーマカツ丼と呼ぶ向きもあるようですが、ガスを加えるエル・ブジ[1]El Bulli スペインのカタルーニャ州ロセスにあったレストランで2011年閉店し、現在はエル・ブジ財団として活動的な泡とは別物。わが家では「朝日屋」風につくったかつ丼を、勝手にスフレかつ丼と称しています。出汁は、常備しているかつお、昆布、煮干しの水出汁を使っていますが、顆粒や粉末の出汁でもちろんOKです。ちなみに「朝日屋」は、大垣駅からは約1㎞南に位置。ドラマ版「自転車屋さんの高橋くん[2]テレビ東京系・2022年放送」で「CYCLE SHOPタカハシ」として登場した「オカダ自転車店(みそ入りせんべいの『田中屋せんべい総本家』の向かい)」からは300mほどの場所にあります。
●材料・下ごしらえ(4人分)
豚肉…4枚(とんかつ、ソテー用・1枚100g程度)
※常温に戻し、ペーパータオルなどで表面の水分を拭き取る。
砂糖…大さじ2
小麦粉…大さじ2
卵…5個
パン粉…
揚げ油…適量(揚げ鍋に肉を入れたときにかぶるぐらい)
出し汁…160ml
酒…大さじ2
みりん…大さじ2
醤油…大さじ4
タマネギ…1個
※縦半分に切り、繊維に沿って薄切り
青のり…少々
ご飯…適量
※別に炊いて用意する
●つくり方
1.豚肉に衣をつける
豚肉の両面に砂糖を振りかける。
指で砂糖を揉み込むみながらひろげていく。
脂身の部分も押し潰すように揉み込む。
肉に小麦粉をまんべんなくまぶし、溶き卵(1個分)にくぐらせてパン粉を全面にしっかりと付ける。
2.とんかつを揚げる
揚げ鍋に油を注ぎ、肉が重ならないように入れる。
中火でじっくり揚げていく。
両面がきつね色になるまで揚げたら油から取り出す。一旦火を止め、油の中のカスを取り除いてから次の肉を入れる。
すべての肉を揚げて油を切ったら、食べやすい大きさに切り分ける。
3.ふわふわ卵をつくる
卵を1個ずつ割って、ザルで漉しながら4個分をボウルに入れる。
鍋に出し汁と酒、みりん、醤油を入れて中火にかける。
沸騰したら煮汁を大さじ2杯分掬って卵のボウルに足し、全体が均質になるように泡だて器でかき混ぜる。
煮汁にタマネギを加えて軽く混ぜたら、かつを1枚分ずつ入れていく。
お玉などで煮汁をかつの上からかけながら2分ほど煮る。
ボウルの卵を細かい泡がふわふわに盛り上がるようになるまで、さらに泡だて器でよく撹拌する。
4.仕上げる
どんぶりにご飯を盛ったら煮汁を回しかけ、かつとタマネギをのせる。
その上にゆっくりと卵をかぶせるように置く。
好みで青のりを振りかける。
※ふわふわ卵のコツは、一度濾して滑らかにすることと、熱い煮汁を加えて温かくすること(湯煎の共立てに近いイメージ)