ズッキーニは、以前はちょっと珍しい野菜でしたが、今では国内での生産も増えてすっかり定着した感じです。ウリ科Cucurbitaceaeの植物で学名はCucurbita pepo L. ‘Melopepo’。ハロウィンの時期によく見かけるような、おもちゃカボチャとも呼ばれるペポカボチャの仲間です。原産地は他のカボチャ属と同様に南北アメリカで、16世紀にヨーロッパへ伝えられました。その後品種改良されて19世紀にイタリアで誕生したのが細長く円筒形で、固い種がないズッキーニ。
ズッキーニはイタリア語でカボチャを意味するzuccaに指小辞をつなげた言葉です。実はイタリア語では男性名詞のzucchinoおよびzucchiniと女性名詞のzucchinaおよび複数形zucchineの両方が存在します。イタリア人にきくとzucchinaが正しくてzucchinoというのはトスカーナだけだとか、zucchinaは南の方の方言だとか、果物や野菜は女性名詞がほとんどだからzucchinaでいいとかいろいろ。Accademia della Cruscaアッカデミア・デッラ・クルスカ(イタリア語の管理当局)によるとどちらも正しいのだそうで、辞書には二つとも記載があり、イタリア語で書かれた文書には両方とも混在しているようです。
ちなみにイギリスではズッキーニはCourgetteクージェットと言います。フランス語から入ったものです。
ズッキーニは花が咲いてから数日で収穫し、未成熟のままの実を食べます。クセがなく少し甘みがあるのが特徴です。細長いもののほかに球形のものがあり、いずれも柔らかく生でも食べられます。
イタリア料理にはズッキーニを使った料理が豊富にあります。パスタのソースにしたり、パイの中に入れたり、カポナータにしたり様々です。ズッキーニの花に衣をつけて揚げたFiori di zucca frittiフィオーリ・ディ・ズッカ・フリッティがおいしいのですが、残念ながら日本ではズッキーニの花があまり流通していないのでなかなか作る機会がありません。簡単につくれる料理をご紹介します。
◆ジェノヴァ風ズッキーニの詰め物Zucchine ripiene alla genovese
ジェノヴァおよびリグーリア地方の伝統料理です。ツナ以外にモルタデッラ(ソーセージ)やひき肉などを入れるレシピもあります。味のポイントはケーパーです。
●材料・下ごしらえ
ズッキーニ…2本
タマネギ…1/2個(100g程度)
※みじん切り
ニンニク…1片
卵…1個
※固茹で卵にしてみじん切り
缶詰のツナ…50g(汁をきったもの)
パン粉…30g
パルミジャーノレッジャーノチーズ…30g
※すりおろす(市販の粉チーズでOK)
オリーブオイル…大さじ1
ケーパー…15g(瓶詰めの酢漬け)
※みじん切り
塩…少々
黒胡椒…少々
●つくり方
1.ズッキーニを茹でる
ズッキーニは上部の硬いところだけ切り落とし、縦半分に切る。鍋にお湯を沸かしてズッキーニを5分ほど茹でる。
湯から出して粗熱が取れたところで、小さめのスプーンなどを使って種と果肉の部分を抉るように取り出す。周りが5~6mmの厚さの土手ができるようにする。
2.詰め物をつくる
フライパンにオリーブオイルを引き、タマネギとニンニクを炒める。タマネギが透き通て来たところで火からおろし、ボウルへ移す。ズッキーニの取り出した部分とその他の材料もすべてボウルの中へ入れてよく混ぜる。詰め物をズッキーニの上へ載せていく。
3.焼く
オーブントースターの中にズッキーニを並べていれる。全体を温めるために中温で5分ほど、さらに焼き目を付けるため高温で2~3分焼きます。(メーカーや機種により違いあるので、調整してください。)