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しょぼしょぼ金田一耕助

いつも飄々とした姿で現れては難事件を解決する名探偵、金田一耕助。雀の巣の如きもじゃもじゃ頭に被っているのは、くちゃくちゃと形の崩れたお釜帽です。お釜帽とは文字通りお釜を逆さまにしたような、天辺が丸くなっている山高帽のこと。柔らかいフェルトのソフト帽、中折れ帽とは違い、硬いフェルトでできているので本来は形が崩れないものです。それを使い込んで使い込んで、つばの部分も広がって、ふにゃふにゃでてろてろにな […]

デンマークのミートボール・スープ / Hønsekødssuppe med Kødboller

デンマークの名物料理のひとつはミートボール入りスープ、Hønsekødssuppe med Kødbollerヘンセクースペ・メ・クーバラ。英語だとChicken soup with meatballsです。チキンスープに豚のミートボールを入れます。 ミートボールの大きさは好き好きですが、デンマークだとピンポン玉より小さめサイズが多いかも。Melbollerメルバラと呼ばれる小麦粉団子を、Boll […]

モルダヴィアの豚肉煮込み /          Tochitură Moldovenească

トキトゥラはルーマニアの伝統料理のひとつで、主に豚肉を煮込んでつくるものですが、地方によって特色があります。その中でも北東部モルダヴィア地方及び隣国モルドヴァの郷土料理がトキトゥラ・モルドヴェネスカです。イタリアのポレンタのような、コーンミールでつくるmamaligaママリガとチーズ、目玉焼きを添えます。ルーマニアにはcasカシュというモッツァレラのような牛や羊のミルクからつくるフレッシュタイプの […]

松本清張 暗中模索

清張の推理、サスペンス作品を読むうえで面白さのひとつとなるのが素人探偵の活躍です。本来は犯罪捜査や素行調査などとは無縁のはずの人物が、事件に巻き込まれたり、あるいは自ら踊り込んだりして謎を解き明かしていきます。大抵の場合、すべてが闇の中にあって、事件の全体像などはまるで見通せない状況の中、小さなヒントを頼りに手探りのスタートです。ああでもないこうでもないと推理を巡らせながら、右往左往。ときにその直 […]

クリスマスプディングの冒険

◆The Adventure of the Christmas Pudding and a Selection of Entrées(1960年)ポアロもの5篇にミス・マープルものの「グリーンショウ氏の阿房宮」”Greenshaw’s Folly”を組み合わせた短編集です。アメリカではこのかたちでの短編集は出版されず、”Double Sin and […]

ガンボ / Gumbo

ガンボはアメリカ南部ルイジアナの郷土料理。ルイジアナ以外でも南部アメリカを中心に広く食べられてきた料理です。この地域では、CreoleクレオールとCajunケイジャンのふたつの文化が共存します。大まかな括りとして、クレオールはフランスやスペインから最初に南部アメリカやカリブ地域へ移住してきた人たちで、ケイジャンは18世紀にカナダのAcadiaアケイディア(東部沿海州)から移住してきたフランス語圏の […]

冬至

12月21日または22日は、北半球で一年のうち昼がもっとも短く夜がもっとも長くなる冬至の日です。昔からゆず湯に入り、カボチャを食べるという習慣がありますね。日本だと南北での差異を考慮したとしても、日の出から日の入りまでは9時間から10時間はあるでしょう。ですから、そこまで暗さを実感することはあまりないかもしれません。一方、同じ時期のヨーロッパを訪れると、まず一際暗いことに驚きます。朝になってもなか […]

アガサ・クリスティとフォリー

アガサ・クリスティが著したポアロものの小説のひとつ、”Dead Man’s Folly”「死者のあやまち」(1956年初版)。よく練られた構成の上質なミステリーなので、アガサを読んでいない人にも読んでほしいお話のひとつといえます。何しろ意味が深いタイトルなんです。面白いのがfollyフォリーという単語。これには名詞として二つの違った意味があります。ひとつは日本語 […]

クライダ / Kulajda

チェコ共和国は南ボヘミアの郷土料理がクライダです。トロっとしたキノコのスープにクミンとディルで風味を付けるのが特徴。ポーチドエッグを少しずつ崩しながら食べます。ポーチドエッグの代わりに半熟のゆで卵を入れてもOK。キノコの種類もお好みで。ディル(学名:Anethum graveolens)はセリ科の一年草です。イノンドとも呼ばれ、葉をハーブとして種子をスパイスとして利用します。ここで使うのは葉、ディ […]

ミス・マープル天誅

ロンドンから南へ25マイルほど離れた小さな村セント・メアリー・ミードに暮らす老婆ミス・ジェーン・マープル。みんなの話をじっくり聞いてそこから真相を導き出すのが得意です。そのうえ、わざと犯人をあぶり出すような小細工を仕掛けることもお手の物というのが素晴らしい。ここでは、つながりのある2つのお話を自分勝手にご紹介します。(内容は早川書房版がベースです) ◆カリブ海の秘密A Caribbean Myst […]