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あれやこれや

清張 黒の2「様式」 / SEICHO BLACK THE SECOND, “STYLE”

松本清張の作品で「黒」がタイトルに含まれる小説やシリーズを自分勝手に紹介する第2弾。今回は「黒の様式」です。「歯止め」から「内海の輪」までの6編が、1967年(昭和42年)1月に始まり1968年(昭和43年)10月に至る期間に「週刊朝日」で連載されました。単行本化された際に「黒の様式」として収録されたのは、「歯止め」、「犯罪広告」、「微笑の儀式」の3編のみです。 ▼歯止め津留江利子(つるえりこ)に […]

清張の「二」 / Compilation of Seicho stories with the word “二”

松本清張作品の中から、タイトルの中に「二」の文字が含まれるお話を集めて、自己本位な考察とともにご紹介します。それぞれのお話の内容に繋がりがあるわけではありませんので、悪しからず。( )は初出の年。 ●二すじの道(1954年)月刊誌「キング」に掲載された歴史小説。「刃傷」(東部書房)、「五十四万石の嘘」(中央公論社)、「武士くずれ」(中央公論社)といったいくつかの短編集に収められました。徳川家康の六 […]

アガサの名探偵不在 / Absent supersleuth

ミステリの女王アガサ・クリスティ(1890~1976)は、イングランド南西部デヴォン州の海浜リゾート地トーキーTorquayにある、アッシュフォードAshfordというヴィクトリア調の邸宅で生まれ育ちました。また、1938年にはトーキー近く[1]南約9マイルで子供の頃から気に入っていたグリーンウェイハウスGreenway House[2]テレビシリーズ名探偵ポワロの「死者のあやまち」” […]

清張 黒の1「画集」 / SEICHO BLACK THE FIRST “ART BOOK”

松本清張が著す「黒い」世界。タイトルに黒の付く数多くの作品とシリーズを自分勝手に披露する第1弾です。今回は「週刊朝日」と「週刊文春」に連載された「黒い画集」と「別冊 黒い画集」、それにプラスして「黒の挨拶」のお話をご紹介。映画化作は少ないですが、繰り返しテレビドラマとして制作された作品はたくさんあります。 ●黒い画集「週刊朝日」に1958年(昭和33年)1月から1960年(昭和35年)6月にかけて […]

清張の「女」その1 / Compilation of Seicho stories with the word”女”, First act

松本清張の小説には女を主人公に据えた作品が目立ちます。お金のために犯罪に手を染める悪い女、真相を求めて自ら調査に乗り出す勇敢な女、ひたすら男に尽くす健気な女、欲にまみれてどこまでも深みにはまっていく愚かな女、奸智に長けて他人を陥れようとする邪な女、ここでは、ズバリそんな「女」をタイトルに含めたお話を簡単にご紹介しましょう。今回はその第一幕。( )内は最初の雑誌掲載年または単行本刊行年。 ●悪魔にも […]

金田一耕助「…の中の女」

横溝正史の描く名探偵金田一耕助が活躍する小説には、「…の中の女」というタイトルの短編作品が数多くあります。ほとんどが、もともと1957~1958年(昭和32~33年)にかけて週刊誌に掲載された作品です。制約された環境の中での人物描写に、短編ならではの面白さがあります。改題、改稿された作品も含めてあくまでも私的見地でご紹介しましょう。横溝自身が述べているのですが、よく同じ名字や名前の人物 […]

ポアロ登場 / Poirot Investigates

◆Poirot Investigates(1924年)アガサ・クリスティが描くベルギー出身の名探偵エルキュール・ポアロ。立派な口髭をたくわえた小男の、素早く目覚ましい活躍を纏めた短編集を私見によってご紹介します。(内容は早川書房版がベースです)イギリス本国では11の物語で出版され、その後、アメリカでは3話が追加された14編の構成になりました。その3篇はイギリス版では”Poirot […]

しょぼしょぼ金田一耕助

いつも飄々とした姿で現れては難事件を解決する名探偵、金田一耕助。雀の巣の如きもじゃもじゃ頭に被っているのは、くちゃくちゃと形の崩れたお釜帽です。お釜帽とは文字通りお釜を逆さまにしたような、天辺が丸くなっている山高帽のこと。柔らかいフェルトのソフト帽、中折れ帽とは違い、硬いフェルトでできているので本来は形が崩れないものです。それを使い込んで使い込んで、つばの部分も広がって、ふにゃふにゃでてろてろにな […]

松本清張 暗中模索

清張の推理、サスペンス作品を読むうえで面白さのひとつとなるのが素人探偵の活躍です。本来は犯罪捜査や素行調査などとは無縁のはずの人物が、事件に巻き込まれたり、あるいは自ら踊り込んだりして謎を解き明かしていきます。大抵の場合、すべてが闇の中にあって、事件の全体像などはまるで見通せない状況の中、小さなヒントを頼りに手探りのスタートです。ああでもないこうでもないと推理を巡らせながら、右往左往。ときにその直 […]