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あれやこれや

ポアロ登場

◆Poirot Investigates(1924年)アガサ・クリスティが描くベルギー出身の名探偵エルキュール・ポアロ。立派な口髭をたくわえた小男の、素早く目覚ましい活躍を纏めた短編集を私見によってご紹介します。(内容は早川書房版がベースです)イギリス本国では11の物語で出版され、その後、アメリカでは3話が追加された14編の構成になりました。その3篇はイギリス版では”Poirot […]

しょぼしょぼ金田一耕助

いつも飄々とした姿で現れては難事件を解決する名探偵、金田一耕助。雀の巣の如きもじゃもじゃ頭に被っているのは、くちゃくちゃと形の崩れたお釜帽です。お釜帽とは文字通りお釜を逆さまにしたような、天辺が丸くなっている山高帽のこと。柔らかいフェルトのソフト帽、中折れ帽とは違い、硬いフェルトでできているので本来は形が崩れないものです。それを使い込んで使い込んで、つばの部分も広がって、ふにゃふにゃでてろてろにな […]

松本清張 味読

清張の推理、サスペンス作品で面白さのひとつが素人探偵の活躍です。本来は犯罪捜査や素行調査などとは無縁のはずの人物が、事件に巻き込まれたり、あるいは自ら踊り込んだりして謎を解き明かしていきます。大抵の場合、小さなヒントを頼りに手探りでスタート。ときにその直感や推理が的中することもあれば、まったくの見当違いであらぬ方向へ突き進んでは行き詰ることもあります。数ある清張の素人探偵ものの中でも個人的に気に入 […]

クリスマスプディングの冒険

◆The Adventure of the Christmas Pudding and a Selection of Entrées(1960年)ポアロもの5篇にミス・マープルものの「グリーンショウ氏の阿房宮」”Greenshaw’s Folly”を組み合わせた短編集です。アメリカではこのかたちでの短編集は出版されず、”Double Sin and […]

アガサ・クリスティとフォリー

アガサ・クリスティが著したポアロものの小説のひとつ、”Dead Man’s Folly”「死者のあやまち」(1956年初版)。よく練られた構成の上質なミステリーなので、アガサを読んでいない人にも読んでほしいお話のひとつといえます。何しろ意味が深いタイトルなんです。面白いのがfollyフォリーという単語。これには名詞として二つの違った意味があります。ひとつは日本語 […]

ミス・マープル天誅

ロンドンから南へ25マイルほど離れた小さな村セント・メアリー・ミードに暮らす老婆ミス・ジェーン・マープル。みんなの話をじっくり聞いてそこから真相を導き出すのが得意です。そのうえ、わざと犯人をあぶり出すような小細工を仕掛けることもお手の物というのが素晴らしい。ここでは、つながりのある2つのお話を自分勝手にご紹介します。(内容は早川書房版がベースです) ◆カリブ海の秘密A Caribbean Myst […]

ポアロ席巻

ベルギー人の名探偵エルキュール・ポアロが見事に事件を解決するお話の中からお薦めをご紹介。テレビシリーズ「名探偵ポワロ」のデヴィッド・スーシェの姿でイメージが出来上がってしまっていると思われますが、以前にも書いている通り、小説に登場するポアロは身長が5フィート4インチ(約162cm)と非常に小柄です。卵形の頭をしているものの、禿げてはいません。そしてでっぷりとした肥満体系でもありません。少し頭の中の […]

アガサの童謡殺人

日本のミステリーでは、詩や俳句、物語、その土地の伝説とか言い伝えなどに絡めたプロットをまとめて「見立て殺人」と呼んだりします。アガサ・クリスティの小説にもたくさんあり、特に童謡によるものが有名です。17世紀のフランスでペローによって出版された”Histoires ou contes du temps passé, avec des moralites”「昔ばなしと教訓」とい […]

よれよれ金田一耕助

中学時代に、その当時からからよく通っていた渋谷の大盛堂書店へ行くと、色鮮やかなカバーイラスト[1]横溝正史の世界観を美しく表現した杉本一文による角川文庫版のイラストの文庫本がいくつか並んで平積みになっていました。そこで手にした「獄門島」が初めての金田一耕助。読書好きの母に聞いてみると、横溝や乱歩は好みでないと言ってはいましたが、それでも書架には横溝が5冊ほど。そこから金田一が登場するお話しを読みま […]

満潮に乗って

Taken at the flood(1948年)エルキュール・ポアロが活躍するアガサ・クリスティの小説の中で、そこまで有名ではないけれども、とても面白くてお薦めできる作品としてご紹介します。ただし、内容はあくまでも利己的視点によるものなのでご容赦を。タイトルは、エピグラフ(題字)に書かれているウィリアム・シェイクスピア作「ジュリアス・シーザー」”The Tragedy of Juli […]