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読書遍歴

金田一耕助「…の中の女」 / Inside women, Kosuke Kindaichi

横溝正史の描く名探偵金田一耕助が活躍する小説には、「…の中の女」というタイトルの短編作品が数多くあります。ほとんどが、もともと1957~1958年(昭和32~33年)にかけて「週刊東京」(東京新聞社刊)に掲載された作品です。制約された環境の中での人物描写に、短編ならではの面白さがあります。改題、改稿された作品も含めてあくまでも私的見地でご紹介しましょう。横溝自身が述べているのですが、よ […]

ポアロ登場 / Poirot Investigates

◆Poirot Investigates(1924年)アガサ・クリスティが描くベルギー出身の名探偵エルキュール・ポアロ。立派な口髭をたくわえた小男の、素早く目覚ましい活躍を纏めた短編集を私見によってご紹介します。(内容は早川書房版がベースです) イギリス本国では11の物語で出版され、その後、アメリカでは3話が追加された14編の構成になりました。その3篇はイギリス版では”Poirot&# […]

しょぼしょぼ金田一耕助 / Bleary-eyed Kosuke Kindaichi

いつも飄々とした姿で現れては難事件を解決する名探偵、金田一耕助。雀の巣の如きもじゃもじゃ頭に被っているのは、くちゃくちゃと形の崩れたお釜帽です。お釜帽とは文字通りお釜を逆さまにしたような、天辺が丸くなっている山高帽のこと。柔らかいフェルトのソフト帽、中折れ帽とは違い、硬いフェルトでできているので本来は形が崩れないものです。それを使い込んで使い込んで、つばの部分も広がって、ふにゃふにゃでてろてろにな […]

松本清張 暗中模索 / Grope in the dark

清張の推理、サスペンス作品を読むうえで面白さのひとつとなるのが素人探偵の活躍です。本来は犯罪捜査や素行調査などとは無縁のはずの人物が、事件に巻き込まれたり、あるいは自ら踊り込んだりして謎を解き明かしていきます。大抵の場合、すべてが闇の中にあって、事件の全体像などはまるで見通せない状況の中、小さなヒントを頼りに手探りのスタートです。ああでもないこうでもないと推理を巡らせながら、右往左往。ときにその直 […]

アガサ・クリスティと二重の意味のフォリー / Agatha Christie and Folly with a Double Meaning

アガサ・クリスティが著したポアロものの長編小説、”Dead Man’s Folly”「死者のあやまち」(1956年初版)。よく練られた構成の上質なミステリーなので、アガサをあまり読んでいない人にも読んでほしいお話のひとつといえます。 何しろ意味が深いタイトルなんです。面白いのがfollyフォリーという単語。これには名詞として二つの違った意味があります。ひとつは日 […]

ミス・マープル天誅 / Miss Marple, heaven’s punishment

ロンドンから南へ25マイルほど離れた小さな村セント・メアリー・ミードに暮らす老婆ミス・ジェーン・マープル。みんなの話をじっくり聞いてそこから真相を導き出すのが得意です。そのうえ、わざと犯人をあぶり出すような小細工を仕掛けることもお手の物というのが素晴らしい。ここでは、つながりのある2つのお話を自分勝手にご紹介します。(内容は早川書房版がベースです) ◆カリブ海の秘密A Caribbean Myst […]

ポアロ席巻 / Poirot Dominance

ベルギー人の名探偵エルキュール・ポアロが見事に事件を解決するお話の中からお薦めをご紹介。テレビシリーズ「名探偵ポワロ」のデヴィッド・スーシェの姿でイメージが出来上がってしまっていると思われますが、以前にも書いている通り、小説に登場するポアロは身長が5フィート4インチ(約162cm)と非常に小柄です。卵形の頭をしているものの、禿げてはいません。そしてでっぷりとした肥満体系でもありません。少し頭の中の […]

アガサの童謡殺人 / Agatha’s Mother Goose Rhyme Murders

日本のミステリーでは、詩や俳句、物語、その土地の伝説とか言い伝えなどに絡めたプロットをまとめて「見立て殺人」と呼んだりします。アガサ・クリスティの小説にもたくさんあり、特に童謡によるものが有名です。17世紀のフランスでペローによって出版された”Histoires ou contes du temps passé, avec des moralites”「昔ばなしと教訓」とい […]

よれよれ金田一耕助 / Disheveled Kosuke Kindaichi

中学時代に、その当時からからよく通っていた渋谷の大盛堂書店へ行くと、色鮮やかなカバーイラスト[1]横溝正史の世界観を美しく表現した杉本一文による角川文庫版のイラストの文庫本がいくつか並んで平積みになっていました。そこで手にした「獄門島」が初めての金田一耕助。読書好きの母に聞いてみると、横溝や乱歩は好みでないと言ってはいましたが、それでも書架には横溝が5冊ほど。そこから金田一が登場するお話しを読みま […]