アフタヌーンティー

ロンドンへ行ったら、観光は早めに切り上げてアフタヌーンティーAfternoon teaで心地よい時間を楽しみましょう。できれば5つ星ホテルのラグジュアリーな空間で、ちょっと贅沢してシャンパン付きを優雅に。数ある紅茶の中から気に入ったものを選んで注文します。小さいけれども手の込んだサンドイッチと三段重ねのスタンドにケーキやペストリー、そして焼き立てのスコーンが。ジャムとクロテッドクリームをたっぷりと塗って頬張りたいですね。一杯目の紅茶はストレートで、二杯目はたっぷりとミルクを注いで堪能します。

よくアフタヌーンティーのことをハイティーHigh teaあるいはローティーLow teaと称しますが、ハイティーとローティーは対比する言葉です。つまり別物ということ。そもそもハイティーは上流階級とは無縁のものでした。その昔、労働者たちが食事と同じダイニングテーブル(ハイテーブル)を使ったためにこの名があります。時間は肉体労働を終えお腹をすかして帰宅した夕方5時とか6時ごろ、食べるのはスコーンではなく、もっとお腹にたまるコールドカット(ランチョンミート)や酢漬けの魚とか。ほぼ夕食です。お茶もいっぱい飲みました。これに対してローティーは、居間にある低いテーブルでゆったりとサンドイッチやお菓子をつまみながら上品に楽しむもの。三段重ねもローテーブルだからこそ使いやすいわけです。それともうひとつ、ハイとローは緯度を意味するとも言われます。ハイティーは緯度の高い地域つまりスコットランド、逆に緯度の低いロンドンを中心としたイングランドがローティーというわけです。少々差別的ですが。実際に、北部イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドなどの一部では、昼食をディナー、夕食をティーと呼ぶ習慣がありました。

イギリスでも日本同様に、この20~30年の間に食生活のあり方は随分と変わってきました。それは食品の生産、加工技術の向上や物流の進化、多様な情報伝達の浸透など様々な環境変化によるものです。少し昔には(もちろん今でも変わらない人もたくさんいると思いますが)、知る限りでのイングランドやウェールズの食事のとり方はこんな感じでした。朝食は小さめのトーストやオートミールに紅茶程度で軽め。いわゆるイングリッシュ・ブレックファストのようなたっぷり目の朝食を食べるのは週末ぐらいです。仕事に行くと10時にお茶。ビスケットとかをつまみます。昼食はサンドイッチが普通です。お店で買うと結構高い(今はコンビニでも1パックで400~500円)ので、家から持ってくる人が多いと思います。そして3時にお茶とお菓子。家に帰ったらビッグティーbig tea。お茶とともに温かい肉や魚のメインディッシュを食べます。その後はみんなそれぞれ近所の行きつけのパブなどへ出かけて軽く飲み、また家に戻ってサパーsupper。お茶と簡単な食事をとります。こうやって回数多く食べるのが一般的でした。日曜日の昼食または夕食はサンデー・ディナーやサンデー・ローストといわれる一番大事な食事です。家族全員がそろって食卓につきます。チキンだったりビーフだったり何を食べるかはその家庭で決まっていて、基本的に毎週同じ料理です。
ホテルに宿泊すれば、朝食はたいていビュフェで好きなものを選べます。でもどんな高級ホテルへ行っても昔から必ずあるのが、大きくて固いベーコンとスカスカのソーセージです。決してイギリスの食べ物がみんなまずいなどとは思わないものの、これはちょっといただけません。