オニオン・グラタン・スープ           Soupe à l’oignon gratinée

冬の寒い日にパリにいたら、フォーラム・デ・アルForum des Halles[1]パリ1区にある大型ショッピングモール近くの名店オー・ピエ・ドゥ・コションAu Pied de Cochonへ。フォーラムのある場所からこのお店の向い辺りまでは、かつてレ・アルLes Hallesという中央卸売市場[2]1969年に郊外のランジスへ移転がありました。このお店は、24時間営業で、市場で働く労働者の胃袋をささえてきたそうです。名物は店名にもなっている豚足Pied de Cochon。表面がカリカリになるまでグリルしてあり、肉の部分を切り分けてベアネーズソースSauce béarnaise[3]バター、卵黄、ビネガー、タラゴン、エシャロットなどでつくるで食べます。でも冷たい石畳を歩いた日にここで食べたいのは、何と言ってもオニオン・グラタン・スープSoupe à l’oignon gratinéeです。香ばしく焼けたチーズとスープがたっぷりしみ込んだバゲット、トロトロのタマネギがどっさり入った甘くて熱々のスープは、身体を芯から温めてくれます。もちろん暑い時に食べてもおいしいですけど。
そんなオニグラをつくってみましょう。少々時間はかかりますが、難しくはありません。

●材料・下ごしらえ(4人分)
タマネギ…3個(600g程度)
※縦半分にして5㎜ほどの厚さで薄切り
無塩バター…60g
(有塩バターの場合は味付けの塩を省く)
ベーコン…40g

※熱湯に15秒ほどつけてから取り出し、細かめのみじん切り
野菜ブロス…1000ml(固形や顆粒のコンソメを800mlのぬるま湯に溶いたものでも可) つくり方⇒野菜ブロス
ローリエの葉…3枚
塩…少々
黒胡椒…ひとつまみ
バゲット…1/3本程度

※2cmほどの厚さの輪切りでひとりあたり2~3枚(スープボウルにちょうど収まるぐらいの量で)
 トーストする
グリュイエールチーズまたはエメンタールチーズ…200g
※すりおろす

●つくり方
1.炒める
鍋にバターとベーコンを入れ中火にかける。バター溶けはじめたらタマネギを加える。ときどき鍋肌に焼きついた焦げをこそげるように取りながら混ぜる。おおむね30分程度。

2.オーブンの予熱をする
200℃に設定してオーブンを温める。

3.煮込む
タマネギが柔らかくなり茶色に変化してきたら、野菜ブロスを注ぎ、ローリエの葉を加える。沸騰したら火を弱め、塩と胡椒で味を調える。煮込む時間は5分ほど。

4.焼く
オーブンの予熱が完了するのに合わせて、スープボウルにスープを注ぐ。
バゲットを並べてのせ、スープに沈めるようにしてしみ込ませる。バゲットの部分に多めにかかるようにしながら、全体にチーズを振りかける。
オーブンに入れて10分間加熱する。
チーズの表面がこんがり焼けてきたら出来上がり。好みでパセリのみじん切りをのせても良い。
お皿の上にボウルをのせて食卓へ。

タマネギを炒めるときは混ぜすぎないように、でも完全に焦げ付かせないようにします。鍋肌に茶色くこびりつくのは野菜や肉の旨味の汁です。それを煮込むときに液体に溶かしていくことを、フランス語でdéglacageデグラサージュといいます。この料理の一番大事なところです。

References

References
1 パリ1区にある大型ショッピングモール
2 1969年に郊外のランジスへ移転
3 バター、卵黄、ビネガー、タラゴン、エシャロットなどでつくる