ティエッラ・プリエーゼ / Tiella Pugliese

長靴の形をしたイタリア半島のかかと部分に当たるのがプーリャ州Pugliaです。東はアドリア海に沿った長い海岸線があり、古代からタラントTarantoやブリンディシBrindisiといった港湾都市が栄えていました。地理的にギリシャやバルカン半島の諸国と近いため、密接な繋がりがあります。山岳地帯が多いイタリアの中ではもっともその面積が小さく、ほとんどが平野と丘陵地帯です。広大で肥沃な平野部は、イタリア有数の穀倉地帯。パスタの原料セモリナ粉のもととなるデュラム小麦が大量に収穫され、瑞々しい野菜の産地にもなっています。またオリーブ栽培がとても盛んなことでも有名。オリーブとオリーブオイルの生産量ではイタリア№1を誇ります。パスタではオレキエッテorecchiette[1]耳(イタリア語でorecchio)の形をしたパスタが名物です。

左: Orecchiette con cime di rapa カブの葉とアンチョビのオレキエッテ/右: Orecchiette al pomodoro con pancetta e spinaci トマトとパンチェッタ、ホウレンソウのオレキエッテ

もちろん新鮮なシーフードが魅力なのは間違いありません。タイやスズキ、イカ、タコ、エビ、ウニ、カキなど。複雑な味付けはしないで、素材を活かしたシンプルな調理がプーリャ料理の特徴です。中でもおすすめの郷土料理がティエッラ・プリエーゼTiella Pugliese。お米とジャガイモとトマトを鍋の中に重ね、それに名物のムール貝をたっぷりとのせてオーブンで焼きます。現地ではカルナローリ米[2]carnaroli リゾットなどに使われるイタリアの中粒米を使いますが、日本のお米でもこのつくり方で十分美味しくできますよ。

●材料・下ごしらえ(4人分)
ムール貝…500g(冷凍)
※束子などで貝の表面に付着した海藻や汚れを落とす
米…2合

※水で洗ってザルにあげる
ジャガイモ…2個(400g程度)

※2㎜厚さの薄切り
トマト…1個(200g程度)

※湯剥きして種を取り除き賽の目切り
タマネギ…1/2個(100g程度)

※みじん切り
ニンニク…1片

※みじん切り
オリーブオイル…大さじ2
白ワイン…100ml

塩…小さじ1(1/2x2)
黒胡椒…少々
水…350ml程度
パン粉…20g
パルミジャーノレッジャーノチーズ…15g
イタリアンパセリ…2枝

※葉の部分だけ手でちぎる

つくり方
1.ムール貝を蒸す
鍋にムール貝を入れ中火にかける。
白ワインを振りかけ蓋をする。
貝の口が完全に開いたら火を止める。
粗熱が取れたところで、半分の貝の殻をはずし、残り半分は片側だけ殻を付けたままにする。
その際にひとつずつ貝の身の中を開いて中のゴミを取ることも忘れずに
蒸した汁は一度漉して取っておく。

2.焼く
オーブンを200℃に設定する。
深めで底が平らな耐熱皿やキャセロール鍋にオリーブオイル、ニンニクとタマネギを入れ、混ぜ合わせる。
ジャガイモの1/2量を均等な厚さになるようにのせ、トマトの1/2量を散らす。
米を敷き詰め、殻なしのムール貝を並べる。
残りのジャガイモをのせて、トマトを散らす。
水とムール貝の蒸し汁を足して400mlになるよう調節し、全体に広がるよう回しかける。
殻付きのムール貝を放射状に並べる。
パン粉とチーズを振りかける。
アルミホイルで蓋をし、オーブンに入れて50分間加熱する。

3.仕上げ
ホイルをはずし、3~5分間、表面に焼き色が付くまでグリルする。
皿に盛り付けてイタリアンパセリをかける。

▲焼き時間は機種によって異なるので調整しましょう。表面の水分がなくなるのが見た目の目安です。

プーリャの州都はバーリBariです。細長い州の真ん中辺りのアドリア海沿岸にあります。町の歴史はギリシャの植民市としてはじまり、古代ローマの時代には重要な商業都市としての位置を確立しました。現在も地中海地域の国々との貿易の拠点となっています。海沿いには港湾施設やホテルやマリーナなどのリゾート施設が並び、一歩旧市街に入ると、中世ロマネスク様式の建物が残る美しい町並みが広がります。この町で有名なのは守護聖人の聖ニコラSan Nicola。サンタクロースの原型となった聖人です。聖ニコラは、4世紀、現在のトルコの地中海岸地域にあるミュラMyraの町の大主教となりました。その後セルジュク朝支配の11世紀になり、バリの人々が聖ニコラの遺骨の一部を持ち帰ったことによって聖堂が建立され、各地から巡礼者が訪れるようになったそうです。貧しい者の訴えを聞いては助けたという数々の逸話が知られ、その崇敬がヨーロッパ全土へと伝わっていきました。それが様々な民間伝承や習俗と結びつき、やがてサンタクロースへと変わっていったといわれます。
ちなみに子供たちにプレゼントをするという習慣は、キリスト教への関心を集めるためにマルティン・ルターによって発案されたものだそうです。

References

References
1 耳(イタリア語でorecchio)の形をしたパスタ
2 carnaroli リゾットなどに使われるイタリアの中粒米