塩豚とレンズ豆の煮込み/Petit Salé aux lentilles

フランス中部に位置するオーヴェルニュAuvergneの伝統料理、塩豚とレンズ豆の煮込みPetit Salé aux lentillesプティ・サレ・オ・ランティーユをつくりましょう。材料となる塩豚はporc demi-selポル・ドゥミ・セルと呼ばれます。demi-selとは塩半分つまり塩分少なめの塩漬けというような意味です。人々は、古代から食材を長持ちさせるための方法として、肉や魚や野菜などの食材を大量の塩に漬け込んでいました。特に冬が長いヨーロッパでは塩漬けは重要な作業です。食料の乏しい時期を乗り切るために十分な保存食を蓄える必要があったからです。もちろん塩だけでなく、酢漬けや油漬けもありますね。
塩漬けされた食材は、そのままでは食べられないので、しっかりと塩抜きしてから調理されます。ドゥミ・セルとは少量の塩に漬けて短期間でつくられるもの。肉の大きさにもよりますが、400~500gほどの塊肉であれば3、4日で食べごろです。この料理をつくる際には、塩豚を用意するための期間も考えて準備しましょう。本来はフランシュ・コンテFranche-Comté地方特産のモンベリアール・ソーセージSaucisse de Montbéliardを一緒に入れますが、入手が難しいので他の大きめのソーセージで代用です。
ちなみにフランスでは、バターにもたくさんの種類があり、含まれる塩分によってdouxドゥー(甘口つまり無塩)、 demi-selドゥミ・セル(半分有塩・日本の有塩はこれ)、 saléサレ(有塩)と分かれています。また、牧畜が盛んなノルマンディのペイ・ドゥ・ブレイPays de Bray[1]ルーアンの北東にはDemi-selという名前のチーズがあります。正方形のチーズです。

●材料・下ごしらえ(4人分)
豚バラ肉…400g(塊肉)
砂糖…大さじ1/2
塩…大さじ1(粗塩)
水…800ml

ローリエの葉…2枚
ニンジン…1本
※半月切り
タマネギ…1個

※櫛切り
クローブ…5個
ソーセージ…4本(大きめのもの・1本50~60g)
レンズ豆…120g(乾燥)

※軽く水洗い
黒胡椒…ひとつまみ
タイム…ひとつまみ(乾燥スパイス)
チャービル…2枝

●つくり方
1.塩豚
肉の表面の水分を拭い、砂糖を全体に塗り付ける。
常温で30分ほど置く。
塩を肉に擦り込むように塗る。
ペーパータオルで肉を隙間なく巻き、その上から二重にラップを巻き付ける。
冷蔵庫に入れる。
1日経過するごとに肉を取り出し、ペーパータオルとラップを新しいものに取り換える。
3日ほどで出来上がり。

2.豚肉を茹でる
塩豚を4等分に切り分ける。
鍋に水600mlと豚肉、ローリエの葉1枚を入れて中火にかける。
沸騰してきたら灰汁を掬い取り、蓋をして弱火におとして60分ほど茹でる。
そのまま冷ます。

3.野菜とソーセージを煮る
2の粗熱が取れたら、水200ml、ニンジン、タマネギとクローブを足し、中火にかける。
沸騰したところでソーセージも加え、15分煮込む。

4.豆を煮る
3の鍋にレンズ豆を入れ、さらに中火で15分煮る。
クローブとローリエを取り除く。
肉とソーセージを一口サイズに切り分けてから盛り付ける。
チャービルを添える。

左:半分有塩バター / 右:モンベリアール・ソーセージ



References

References
1 ルーアンの北東