フランス料理の定番でビーフシチューの原型とも言えるのがブフブーギニョンBoeuf Bourguignon。中世からブルゴーニュ地方の農家の食事として伝統的に親しまれてきた料理です。1903年にオーギュスト・エスコフィエGeorges Auguste Escoffierによってはじめてレシピが公開されました。アメリカではこの料理は料理研究家のジュリア・チャイルドJulia Carolyn Childの名前とともに知られています。フランス滞在中に料理を学んだ彼女は、1960年代にテレビの料理番組The French Chefでフランス料理を紹介しました。番組は好評を博し、彼女はレシピ本を出版。ブフブーギニョンはジュリアの代表的な料理となったのです。
フランスの伝統レシピでは、ラードンlardonという燻製をしない豚バラの塩漬け肉を使いますが、入手困難なのでここではベーコンで代用します。煮込む赤ワインは、もちろんブルゴーニュ産にしたいところです。できれば品種はピノノワールかギャメイで。でも、安く手に入るお手頃なものでも一向に構いません。肉のマリネをする必要があるので、調理する半日あるいは1日前から準備しましょう。
●材料・下ごしらえ(4人分)
牛肉…800g(塊のバラ肉、もも肉など2種、またはカレー、シチュー用)
※塊は1辺が7~8cmほどの大きさに切る
赤ワイン…500ml
ローリエの葉…3枚
ニンニク…2片
※包丁の腹で叩いて潰す
黒胡椒…ひとつまみ
△上記の材料をすべて保存袋に入れて冷蔵庫で6~12時間置く
ベーコン…60g
※5㎜ほどの細切り
タマネギ…1個
※くし形切り
ニンジン…1本
※2cm幅の輪切り
マッシュルーム…12個
無塩バター…60g
小麦粉…大さじ2
ビーフストック…300ml(市販のビーフコンソメを溶いたものでもOK)
つくり方>ビーフストック
トマトペースト…大さじ2(市販のものでOK)
つくり方>トマトペースト
タイム…小さじ1
塩…ひとつまみ
パセリ…2枝
※みじん切り
●つくり方
1.マリネ液を温める
保存袋から肉を取り出してマリネ液を小さめの鍋かフライパンに入れる。強火で熱してアクが集まったところで火を止め、アクを取り除く。
2.肉を炒める
別の大きめの鍋にバターを引き、中火でベーコンを炒める。ベーコンに焼き色が付いたら肉とタマネギとニンジンを加えてさらに炒める。具材の表面が焼けてきたら小麦粉を茶漉しなどでまんべんなく振り入れ、全体になじむように混ぜる。
3.煮込む
2の鍋に1のマリネ液とビーフストック、トマトペースト、タイム、塩を入れ、中火のまま煮る。沸騰してアクが溜まったら掬い取り蓋をする。弱火にして3時間ほど煮込む。
皿に盛り付けてパセリを振りかける。
ホウレンソウのバター炒めやマッシュポテトなどと一緒に食べましょう。
◆ジュリア・チャイルド風つくり方
初回放送のThe French Chefを参考にしたつくり方です。
牛肉は漬け込みません。タマネギやニンジンは一緒に煮込まず、後からペコロスを追加します。
●4人分にした場合の材料
牛肉…800g
赤ワイン…300ml
ビーフストック…200ml
トマトペースト…大さじ1+1/2
タイム…小さじ1
ローリエの葉…1枚
ニンニク…1片
※みじん切り
塩…小さじ1
オリーブオイル…大さじ1
ペコロス…8個
※茶色の葉を除き、芯をくり抜く
マッシュルーム…12個
※大きければペコロスの大きさに合わせて切る
バター…10g
▼ブールマニエ 小麦粉…30g / バター…30g
予めバターを室温に戻し、小麦粉とともにボウルなどへ入れ、均質になるまで練り合わせる
フライパンにオリーブオイルを引き牛肉を焼く。焼き色が付いたら肉を取り出し、フライパンに赤ワインを注ぐ。焼き汁をこそげるように混ぜる。深い鍋に牛肉と赤ワイン、ビーフストックを入れる。トマトペースト、タイム、ローリエ、塩を加えて予熱したオーブンへ。325°F(約162℃)で3時間から4時間加熱する。
小さめの鍋で水150mlを沸かし、ペコロスを茹でる。フライパンにバターを入れマッシュルームを炒める。
オーブンから出した鍋に、肉とソースに分ける。ソースを鍋に戻して浮いたアクや脂を掬い取り、塩と胡椒(分量外)で味を調える。鍋を火にかけ、ブールマニエを加えてよく混ぜる。ソースの中に肉、ペコロス、マッシュルームを入れてなじませ、蓋をして3分ほど煮込む。
◎ブールマニエが入ったボウルにソースをお玉1杯分ぐらい加えて溶かし、それを鍋の中で全体
に混ぜたほうがダマができる心配がありません
これもおいしいですよ‼
ジュリアは同じつくり方で牛肉をラムにした場合はオーブンの調理時間を2時間、鶏肉にした場合は30分と言っています。