pirolin14
AUTHOR

pirolin14

旅好きのガーデンデザイナーにして料理研究家です。 子どものころから多趣味に興じる日々を過ごしています。 文学部史学科を卒業後、長きにわたり旅行業界に勤仕。わたしの辞書には休肝日という言葉はありません。

アガサの名探偵不在 / Absent supersleuth

ミステリの女王アガサ・クリスティ(1890~1976)は、イングランド南西部デヴォン州の海浜リゾート地トーキーTorquayにある、アッシュフォードAshfordというヴィクトリア調の邸宅で生まれ育ちました。また、1938年にはトーキー近く[1]南約9マイルで子供の頃から気に入っていたグリーンウェイハウスGreenway House[2]テレビシリーズ名探偵ポワロの「死者のあやまち」” […]

イタリアのパスタ / La Pasta Italiana

フランスのレストランで食事をする場合、基本は前菜+メイン+デザートの3品の組み合わせでしょう。これがイタリアでは、antipastoアンティパスト(前菜)、primo piattoプリモ・ピアット(第一の皿)、secondo piattoセコンド・ピアット(第二の皿)、dolceドルチェ(デザート)という流れ。通常はアンティパストは冷菜で、省略されることも多いです。セコンド・ピアットはメインの料理 […]

松本清張 黒の1 / SEICHO BLACK THE FIRST

清張が著す「黒い」世界。タイトルに黒の付く数多くの作品とシリーズを自分勝手に披露する第1弾です。今回は「週刊朝日」と「週刊文春」に連載されたお話をご紹介。映画化作は少ないですが、繰り返しテレビドラマとして制作された作品はたくさんあります。 ●黒い画集「週刊朝日」に1958年(昭和33年)1月から1960年(昭和35年)6月にかけて連載されていた全9話によるシリーズです。以下の記事は連載時の掲載順。 […]

ブランズウィック・シチュー / Brunswick stew

このトマトベースのシチューは、アメリカ南部ではとてもポピュラーな料理です。しかし、それがどこで生まれたのかは論争の的になっています。ヴァージニア州ブランズウィック郡とジョージア州ブランズウィック市が互いに自分たちの土地が発祥だと主張しているからです。ブランズウィックというのは、北部ドイツのニーダーザクセン州の都市Braunschweigブラウンシュヴァイクの英語名。ヴァージニアやジョージアの地名と […]

シーポルクロプシス / Sīpolklopsis

バルト三国の真ん中に位置するラトビア共和国。首都はかつてハンザ都市として栄えた美しい港町リガです。そのラトビアの郷土料理のひとつがシーポルクロプシス。ラトビア語でSīpolsはタマネギ、klopsisはミートボールを意味します。でもひき肉ではなく脂身のない牛肉、豚肉、仔牛肉などをつかってつくる料理です。肉と同じ量のタマネギを使います。 ●材料・下ごしらえ(4人分)豚肉…400g(ヒレやももなど)※ […]

松本清張の「女」が入る小説集 / Compilation of Seicho’s stories with the word”女”

清張の小説には女を主人公に据えた作品が目立ちます。お金のために犯罪に手を染める悪い女、真相を求めて自ら調査に乗り出す勇敢な女、ひたすら男に尽くす健気な女、欲にまみれてどこまでも深みにはまっていく愚かな女、奸智に長けて他人を陥れようとする邪な女、ここでは、ズバリそんな「女」をタイトルに含めたお話を簡単にご紹介しましょう。 ●悪魔にもとめる女(1955年)1954年の「オール讀物」掲載時には「女囚抄」 […]

金田一耕助「…の中の女」

横溝正史の描く名探偵金田一耕助が活躍する小説には、「…の中の女」というタイトルの短編作品が数多くあります。ほとんどが、もともと1957~1958年(昭和32~33年)にかけて週刊誌に掲載された作品です。制約された環境の中での人物描写に、短編ならではの面白さがあります。改題、改稿された作品も含めてあくまでも私的見地でご紹介しましょう。横溝自身が述べているのですが、よく同じ名字や名前の人物 […]

シンシナティ・チリ / Cincinnati chili

シンシナティの郷土料理は何といってもシンシナティ・チリ。アメリカでチリといえばメキシコ発祥のチリ・コン・カルネChili con carneのこと。肉と豆と野菜を使ったスパイシーな煮込み料理です。でも、シンシナティ・チリはちょっと違ってそれだけではありません。スパイスを効かせた豆なしのチリをつくり、そこにお好みで具材を追加するスタイルなんです。お店での注文も”The way syste […]

ナデシコ / Dianthus

古くから素敵な日本女性を形容する言葉として「やまとなでしこ」が使われます。もともと清楚で慎ましい、おしとやかな女性のことでしたが、戦国時代以降には加えて芯の強さをあわせもつ人を意味するようになったようです。その名は植物のナデシコ(撫子)によります。ナデシコは日本に自生する多年草で、万葉の時代から日本人に愛されてきた花のひとつです。小さく繊細な花から、かわいらしい子供や女性をイメージして撫子と名づけ […]

ポアロ登場 / Poirot Investigates

◆Poirot Investigates(1924年)アガサ・クリスティが描くベルギー出身の名探偵エルキュール・ポアロ。立派な口髭をたくわえた小男の、素早く目覚ましい活躍を纏めた短編集を私見によってご紹介します。(内容は早川書房版がベースです)イギリス本国では11の物語で出版され、その後、アメリカでは3話が追加された14編の構成になりました。その3篇はイギリス版では”Poirot […]