CATEGORY

読書遍歴

ミス・マープル矍鑠 /Spry Miss Marple

 イングランド南部の小村セント・メアリー・ミードで人生の大半を過ごしてきたジェーン・マープルは、落ち着いてひとの話に耳を傾け、じっくりと観察します。そして、気に掛った些細な事象に着目しては快刀乱麻を断つが如くに謎を解いていくのです。そんなミス・マープルが才気を発揮するお話を個人的視点でご紹介します。(内容は早川書房版をベースにしています) ◆牧師館の殺人The Murder at the Vica […]

清張 黒の3「図説」/ SEICHO BLACK THE THIRD, “ILLUSTRATION”

 松本清張の作品でタイトルに「黒」の入るシリーズや作品を自分勝手にご紹介する第3弾。今回は「黒の図説」です。 1969年3月から1972年12月にかけて「週刊朝日」に連載されました。「黒の図説」としての単行本化はありません。以下は連載の順番です。 ▼速力の告発 次項「分離の時間」が表題の単行本に収録。 不幸な交通事故で妻子を失った家庭電器販売店主の木谷修吉。加害者は若いサラリーマンです。最初は彼を […]

清張の「女」その2 / Compilation of Seicho stories with the word”女”, Second act

 松本清張の著作の中には女を主人公にした作品が多々あります。タイトルに「女」が含まれる小説を集めて手前勝手にご紹介する第二弾です。( )内は最初の雑誌掲載年または単行本刊行年。 ▼女に憑かれた男(1956年) 「小説春秋」に掲載されました。この雑誌は桃園書房という出版社が出していたもので、文藝春秋とは関係がありません。単行本としては、清張没後30年記念と題して出版された「任務 松本清張未刊行短篇集 […]

清張 黒の2「様式」 / SEICHO BLACK THE SECOND, “STYLE”

松本清張の作品で「黒」がタイトルに含まれる小説やシリーズを自分勝手に紹介する第2弾。今回は「黒の様式」です。「歯止め」から「内海の輪」までの6編が、1967年(昭和42年)1月に始まり1968年(昭和43年)10月に至る期間に「週刊朝日」で連載されました。単行本化された際に「黒の様式」として収録されたのは、「歯止め」、「犯罪広告」、「微笑の儀式」の3編のみです。以下、連載順にご紹介。 ▼歯止め津留 […]

清張の「二」 / Compilation of Seicho stories with the word “二”

 松本清張作品の中から、タイトルの中に「二」の文字が含まれるお話を集めて、自己本位な考察とともにご紹介します。それぞれのお話の内容に繋がりがあるわけではありませんので、悪しからず。( )は初出の年。 ●二すじの道(1954年) 月刊誌「キング」に掲載された歴史小説。「刃傷」(東部書房)、「五十四万石の嘘」(中央公論社)、「武士くずれ」(中央公論社)といったいくつかの短編集に収められました。 徳川家 […]

アガサの名探偵不在 / Absent supersleuth

 ミステリの女王アガサ・クリスティ(1890~1976)は、イングランド南西部デヴォン州の海浜リゾート地トーキーTorquayにある、アッシュフォードAshfordというヴィクトリア調の邸宅で生まれ育ちました。また、1938年にはトーキー近く[1]南約9マイルで子供の頃から気に入っていたグリーンウェイハウスGreenway House[2]テレビシリーズ名探偵ポワロの「死者のあやまち」” […]

清張 黒の1「画集」 / SEICHO BLACK THE FIRST “ART BOOK”

 松本清張が著す「黒い」世界。タイトルに黒の付く数多くの作品とシリーズを自分勝手に披露する第1弾です。今回は「週刊朝日」と「週刊文春」に連載された「黒い画集」と「別冊 黒い画集」、それにプラスして「黒の挨拶」のお話をご紹介。映画化作は少ないですが、繰り返しテレビドラマとして制作された作品はたくさんあります。 ●黒い画集 「週刊朝日」に1958年(昭和33年)1月から1960年(昭和35年)6月にか […]

清張の「女」その1 / Compilation of Seicho stories with the word”女”, First act

 松本清張の小説には女を主人公に据えた作品が目立ちます。お金のために犯罪に手を染める悪い女、真相を求めて自ら調査に乗り出す勇敢な女、ひたすら男に尽くす健気な女、欲にまみれてどこまでも深みにはまっていく愚かな女、奸智に長けて他人を陥れようとする邪な女、ここでは、ズバリそんな「女」をタイトルに含めたお話を簡単にご紹介しましょう。今回はその第一幕。( )内は最初の雑誌掲載年または単行本刊行年。 ●悪魔に […]

金田一耕助「…の中の女」 / Inside women, Kosuke Kindaichi

 横溝正史の描く名探偵金田一耕助が活躍する小説には、「…の中の女」というタイトルの短編作品が数多くあります。ほとんどが、もともと1957~1958年(昭和32~33年)にかけて週刊誌に掲載された作品です。制約された環境の中での人物描写に、短編ならではの面白さがあります。改題、改稿された作品も含めてあくまでも私的見地でご紹介しましょう。横溝自身が述べているのですが、よく同じ名字や名前の人 […]

ポアロ登場 / Poirot Investigates

◆Poirot Investigates(1924年) アガサ・クリスティが描くベルギー出身の名探偵エルキュール・ポアロ。立派な口髭をたくわえた小男の、素早く目覚ましい活躍を纏めた短編集を私見によってご紹介します。(内容は早川書房版がベースです) イギリス本国では11の物語で出版され、その後、アメリカでは3話が追加された14編の構成になりました。その3篇はイギリス版では”Poirot& […]