26 旅路の記 西表島 / 26 Travelogue Iriomote

沖縄の離島といえば、おそらく美しいビーチを楽しむことを主な目的として訪れる方が多いはずです。でも、西表島は他の島々とは一味違う体験を求めて旅する格別な場所といえます。九州の南から台湾方面へ向けて長く続く南西諸島。その最西端にある八重山列島のひとつが西表島です。島の面積は約289平方キロメートル。千葉市や奈良市よりも大きく、世田谷区の5倍ほどの広さがあります。全土の90%が森林で、そのほとんどが国有林として林野庁の管理下です。ここではマングローブに囲まれた川を遡っては、鬱蒼とした原生林の中へと分け入り、険しい岩山を登ってたどり着いた滝で水飛沫をかぶるといったちょっとした冒険気分を味わうことができます。

今回はそんな西表島で、カヤックとトレッキングを楽しみ、サキシマスオウノキを見ることが目的の2泊3日の旅行です。

JAL971 HNDISG 0625/1000
まずは航空機で羽田空港を飛び立ち石垣空港へ。空港からはバスで離島ターミナルへ向かいます。生憎の風雨で西表島の上原港行きフェリーは欠航。大原港への便に変更です。フェリーを定期運行するのはA社とY社ですが、現役時代にたまたま携わった国内の仕事で、お世話になったことのあるY社を利用しました。大原港ではホテルの送迎バスがお出迎え。島をぐるっと半周するように約1時間かけて到着です。

右:石垣島といえばこの人

西表島には、島の外周を巡る県道215号があります。南東の南風見から大原港と北部の上原港を通り、白浜までの約50kmです。本来の計画は島を環状につなぐものでしたが、イリオモテヤマネコの発見によって工事は中断。以降の計画は中止になりました。西表島では最高時速が40kmに制限されているうえに、道路を車で走っていると、よく路面に赤く塗られたハンプ[1]road hump、車を減速させるための路上の隆起を見かけます。それと「イリオモテヤマネコとびだし注意」の標識もあちらこちらに。野生生物を守るための取り組みの一部です。それでも毎年交通事故の被害にあうヤマネコがいるのだとか。現地ガイドの方の話では、何度も生態調査が行われているものの、正確な生息数は不明で、100匹前後ではないかとのこと。また、ヤマネコとの病気の感染が危惧されることから、イエネコは屋外へ出すことが禁止されているそうです。

宿泊するのはもちろんこのホテル。小生は会社ではほぼ海外の仕事のみでしたが、国内部署がこの会社と商品の共同開発をしていたことから馴染みがあり、これまでにも各地の系列ホテルに泊まっています。
さすがのホスピタリティでした。

2日目、「秘境ナーラの滝へ ダイナミック西表島アドベンチャー」というアクティビティに参加しました。
ほかに参加者はおらず、スウェーデン人のガイドA氏とふたりのみ。
県道215号の終点、白浜港からシーカヤックをひたすら漕いで仲良川を上流へと向かいます。往復約16kmを4時間ほどかけてマングローブの群生地を漕ぎ進めるのです。

左:白浜港 / 右:シーカヤック

そしてジャングルの中に入って片道1時間のトレッキング。まさに秘境と呼ぶのにふさわしいナーラの滝に到着しました。
滝の飛沫を浴びながらのお弁当は格別。

午後の帰路では、大きな干潟が出現していて、青くてかわいいミナミコメツキガニの大群が。

さすがに4時間のカヤックは疲れましたが、期待以上の楽しさで、大自然を満喫することができました。
ホテルへ戻る途中で、水田に佇む1羽のソデグロヅルを発見。絶滅危惧種で、西表島に飛来することも珍しいそうです。数日前から同じ場所にいるとききました。

3日目、「奥ゲータの滝トレッキング」に参加しました。参加者は小生以外におひとりのみ。
頭上にカンムリワシが舞うジャングルの中を抜けて、ジャブジャブと渓流の中を歩き、足場を探しながら岩山を登って滝を目指します。ゲータの滝は3段になっていて、一番上の滝が奥ゲータと呼ばれているのです。
半日のツアーでしたが、充実の内容で、西表の魅力を存分に感じることができました。

滝からは海が見渡せます。
中央上のほうに小さく見えているのがカンムリワシ。

サキシマスオウノキは大きな板根が特徴です。
亜熱帯から熱帯の、おもに湿地のマングローブ林に生えるアオイ科の常緑高木。

ホテルの食事は、朝・夕ともにビュフェでしたが、種類も豊富でそれぞれおいしい料理ばかり。
ほかにもこんなご当地グルメをいただきました。

左:石垣牛のハンバーガー
左:八重山そばとジューシー / 右:もずくの天ぷら

西表島ホテルでは、通常は当たり前に備え付けられている歯ブラシ、ブラシ、シャワーキャップ、シェーバーといったアメニティが一切ありません。それはグループの施設全体で取り組んでいる脱プラの取り組みの一環でもありますが、西表島の場合は深刻な漂着プラスチックごみの問題に悩まされていることが最大の理由です。島に流れ着く海洋ごみの95%以上は発泡スチロールやペットボトルなどのプラスチック製品なのだとか。しかもそのほとんどが外国製。それを島の人たちが回収し続けているのです。島内では処理ができないので、石垣島まで運んで埋め立てます。美しい自然の裏側には地元の苦悩や努力があるのだと知りました。だからホテルでは、ごみを出す手前で使わないということに徹しているのでしょう。

上原港から石垣島へ戻り、空港へ。

JAL974 ISGHND 1925/2200

References

References
1 road hump、車を減速させるための路上の隆起